大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)577号 判決

控訴人等が被控訴会社を相手方として長野地方裁判所伊那支部に満俺鉱石引渡仮処分を申請し、同年二月一〇日「本案判決確定にいたるまで別紙目録記載の満俺鉱石に対する被申請人(被控訴会社)の占有を解き、長野地方裁判所伊那支部執行吏をしてこれが保管を命ずる。被申請人は右物件につき譲渡その他一切の処分をしてはならない。」旨の仮処分決定を受け、即日その執行をしたことは、当事者間に争がない。右仮処分の申請理由の要旨は、右満俺鉱石は被控訴会社が採掘し占有するもので、その採掘は被控訴会社と控訴人等との間の昭和二二年一二月二八日附契約により、被控訴会社が昭和二三年一月一日から向う五年間、控訴人等の共有する長野県上伊那郡川島村、満俺鉱三六万五、二八〇坪の採掘権(長野県採掘権登録第七五号)に基く鉱業の経営を代行する趣旨の約定によるものである。然るに右契約はその実右採掘権の賃貸借契約即ち所謂芹先掘契約であつて、鉱業法に違反し無効であり、従つて本件鉱石は採掘権者である控訴人等の所有に帰属するから、控訴人等の所有権に基く本件鉱石の引渡請求権を保全するために、右仮処分を求めるというにある。

控訴人等が果して本件鉱石に対して所有権を有するか否かの問題はしばらく措き、本件鉱石に控訴人等がその主張するような所有権を有するとするも、控訴人等の権利は要するに金銭的補償を得ることによつて十分満足され得る性質のものであると判断せられる。控訴人等の疎明にはこの判断を妨げる資料はない。このような場合は民事訴訟法第七五九条に所謂「特別の事情」あるときに該当するから、被控訴会社をして保証を立てさせて本件仮処分の取消を許すべきである。

原審証人青木富二雄の証言によると、本件鉱石のマンガン含有量は三八%であつてその価格が一屯金七、八千円であり、採掘の諸経費が一屯金四、五千円であることが認められる(右認定に反する原審及び当審における控訴人浜義彦本人の供述は措信しない。)から、これらを考慮し、右取消の保証としては金三、〇〇〇万円が相当であると認められる。

しからば被控訴人において金三、〇〇〇万円の保証を立てることを条件として本件仮処分取消の申立を認容すべく、よつて原判決を変更し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条第九三条第八九条、仮執行の宣言につき同法第一九六条を適用し、主文のとおり判決する。

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